道路・交通に関するコンサルタント業務ノート

道路・交通関連の設計やコンサルタント業務にまつわるノウハウメモ&レポート

「道路の交通容量」の業務適用のポイント その1

文献

交通容量についての文献は米国の「Highway Capacity Manual(HCM)」があるが、これは交通容量に関する原典というものである。ただしわが国の一般技術業務で用いられることは少ない。

わが国では技術業務の出典としては「道路の交通容量(日本道路協会)」日本道路協会が標準である。基本的には上記の「HCM」の和訳であるが内容は実務上必要部分に抜粋され、別途日本独自のデータ等も記載されている。

ほかに、交通工学学会より論文等が出版されているが、よほど専門的な分析で無い限り「道路の交通容量(日本道路協会)」で事足りる。

理解のためのポイント

定義と単位

・通常交通容量は時間当たりの処理可能台数で示される。

・単位は(pcu/時間)である。pcuという単位は「乗用車換算台数」という意味であるが、道路設計等の実務上は余り使用されずなじみがない。これはわが国の道路設計の指針書である「道路構造令」が計画交通量および設計基準交通量の単位を(台/日)としているためと考えられる。

単路部の交通容量

・「道路の交通容量」によれば、基本交通容量が定義されており、まず単路部の2方向2車線道路で2500pcu/時/2車線、次に 多車線道路及び1方向道路の基本交通容量で2200pcu/時/車線となっている。注(交差点部は別途定義)

・ここで、話がややこしくなるのは「2方向2車線道路で2500pcu/時/2車線」という表現。2方向2車線道路というのは白線の中央線がある道路であり仮に往復の交通量比が1:1であれば、1250pcu/時が交通容量となることを意味する。

・ただし、これは追い越し可能の2車線道路を前提としており、最近の高速道路で暫定2車線道路で見られる簡易分離帯のある構造や、黄色線の2車線道路については1700pcu/時/車線、または3000pcu/時/往復とする場合もあるようである。

http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0317pdf/ks0317005.pdf

・このあたりの事情については、交通容量の適用場面が道路計画である、すなわちこれから道路を整備する場面で活用されていたことに起因すると考えられる。つまりは、そもそも分離帯のある2車線道路が例外的なものであること、また黄色線は交通規制方法であり道路設計段階では考慮されるべきでないこと(将来に担保されている事情でない)といった経緯が背景にあるものと考えられる。

以下続く

 

 

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