信号のない 横断歩道
信号の無い横断歩道、道路交通法では当然、歩行者優先。歩行者がいた場合は自動車は一旦停止しなければなりません。
私も、全然守っていませんでした。以前免停講習で教官から「今、歩行者いたよ。止まらなきゃ」と指摘されて認識を改めた次第です。
JAFの調査では、停止率は10%未満。実際のところ、止まっていないのがほとんどで、むしろ歩行者が自動車が来ないの確認して横断としているのが実態です。
JAF | 「信号機のない横断歩道」でクルマは依然として止まらない 一時停止率は8.5% 〜前年と比較して0.9%の増加〜
一旦停すると、歩行者「あれ?いいんですか。」みたいな表情で、一礼してくれることがままあります。こっも「いやあ当然ですよ。」と笑みをうかべて横断を促す。あわただして生活のなかで、一服の清涼剤ともなっています。なんか気持ちも落ち着くしね。
ただ、悩ましのがこれ↓
「自車が停止しても、対向車が停止せず危ない」
ある記事では、「カーホーン(クラクション)」の使用を解決策として提案しています。
しかし、これも抵抗ある。「クラクション=怒り」という印象があるので、なかなか使いづらい。むしろ歩行者の焦りを生んでしまうのではというリスクを感じます。
当然、停止した自車は全く悪くないのですが、事故の誘因、結局事故には極力関わりたくないというのが、本音です。
横断歩道に、「黄旗」が設置されいたことをご存じでしょうか?
最近はあまり見なくなりました。
停止を促し、視認性を高めるうえでも結構効果があると思います。
維持管理の問題はあるのでしょうが、復権再考の価値はあると思います。
「早い」「安い」「うまい」渋滞対策の考え方
1.渋滞対策の種類
一口に「渋滞対策」といっても、その種類は様々です。
渋滞は、交通容量に対して交通需要が超過している状態になったときに発生します。
容量側を増やす方法としては、「バイパスなど新しい道路を作る」「車線を増やす」「立体交差」などいわゆるハード対策があります
逆に需要減らす方法として「バス、電車など公共交通に転換」「時差出勤」「交通情報提供」など、いわゆる「交通需要マネジメント(TDM)」という考え方があります。前者のハード対策に対してソフト施策とよばれたりします。
高度成長期やバブルのときは、経済活動に道路は必要不可欠なものとして、また将来的にも自動車交通需要は増加していくことが前提でしたので、あまり深く考えないで、とにかく道路整備を進めていこう。「渋滞している。混雑している」→「道路が必要」という思考で十分理解が得られる時代でした。
人口減少が確実とされる現代では、「渋滞対策」=「新規道路整備」という図式は成り立たない時代となっています。
仮に対策メニューとして「新規道路整備」が必要となった場合でも、実際のところ道路が完成するのは早くて10年後、20年後なので、道路利用者側から見れば、あまり意味がない対策です。
一方「交通需要マネジメント(TDM)」などのソフト施策は、比較的安価に実施できて、また試行錯誤(やりなおし)もできるという点でも、合理的な手段です。ただ、対策としては「広く」「浅く」なので、「施策」と「効果」の因果関係がわかりづらいところがあります。
ひらたく言うと、行政(道路管理者、交通管理者)側の苦労の割には、いまいち評価がされにくいというジレンマがあります。
2.渋滞の原因は「交差点」
そこで比較的、安価、速効、わかりやすい対策として「交差点改良」があげられます。
以前、記事にしましたが一般道路の渋滞要因(ボトルネック)はほとんど「交差点」です。なにせ一日の半分は通行できない(信号の青時間比率が50%の場合)のですから当然です。それで交差点部分は「右折レーン」「左折レーン」など車線を付加して容量を増加させる構造としているわけです。このあたりは「道路構造令」にある通りで、道路設計者は「道路構造令」にならって設計していくわけですね。
ただ需要を見込んで設計整備した交差点でも、渋滞が発生(渋滞の先頭)している場合があります。交差点は単路部と違って右左折交通、歩行者が混在してる箇所ですから、様々な要因で容量低下が生じている場合があり、改良の余地がある場合がほとんどです。
それで、渋滞対策として「交差点改良」があり、大規模な道路整備ではなく、ちょっとした工夫で効果が・・という、まずまずキャッチーな施策となるわけです。しかも局所的なハード整備ですから効果の計測もしやすいという利点があり、行政側としても達成感が得られる施策といえます。
3.交差点改良コンサルティングのポイント
〇信号現示改良(青時間比率の最適化)は下の下の策
よく対策検討で「信号現示の変更」として「」という項目を目にしますが、仮に私が「道路管理者(国、都道府県、市町村)」側からの発注業務で検討するときはでは基本「禁じ手」にしています。
「青時間比率の最適化」とは、いわゆる交差点需要率計算をして、実測交通量に合わせて現況の青時間比率の最適化を提案するものです。
ただ、ほとんどの信号は、交通管理者(警察)によって、系統的システマチックに最適化されている、あるいはルーチンワークで適宜改良されているので、「道路管理者(国、都道府県、市町村)」側からの提案としては、釈迦に説法というところとなります。
渋滞対策としては当然「交通管理者(警察)」と連携しますが、図式としては「道路管理者」が構造的な改良を提案・整備→「交通管理者(警察)」が信号を最適化、という原則を念頭に置いておく必要があります。
〇速度低下要因を見つける
「速度低下」=「容量低下」です。もし、車両が連結されている電車のように一定の車間距離、速度で通行できていれば、容量低下は生じてないことになります。要は交差点の処理能力、つまり設計通りのパフォーマンスが発揮されているわけです。
実際はそんなことはなく、交差点の流入部で観察すると、青信号で交差点通過の際、ちょいちょいブレーキランプが点灯しています。
「ブレーキ」=「速度低下」=「容量低下」です。私の場合、まず現地では「青時間中にブレーキランプがどこで、どの程度点灯しているか」→「その原因はなにか」を観察することとしています。
〇見落としがちな改良点
さて「ブレーキランプ点灯(速度低下)」が生じていている箇所・原因の目星がつけば対策を検討います。
よくある「原因」→「改良点」としては
- 〇「右折レーン長の不足」→「右折レーン延伸」
- 〇「左折車が多い」→「左折レーンの設置」
- 〇「交差点内での蛇行、不規則停止」→「導流線(交差点内の右折車両導流・停止線)の設置」
などがあげられます。
このあたりは、定番となる対策なので、観察時も着目しておくことが必要です。逆に見落としていると、コンサル能力を疑わられます(笑)
そのほかに、見落としがちな改良点としては、下記のものがあります。
- 幅員の不足。以外と3.0m未満となっている場合があります。
- 左折車両と横断歩行者による阻害。交差点設計時に織り込んで計算されていますが、意外と現地では横断歩行者でまったく左折できない場合が生じている場合があります。
- 交差点手前の街路への左折(信号を避けて)が多い
- 交差点付近の沿道施設への出入り車両
- 交差点が大きい場合。一般には交差点は小さいほうが処理能力として有利とされています。
- バス停
と、いろいろありますが、文献としては下記のものがありますので、参考としてください。
交差点の渋滞要因は、一見すると突発的、軽微なもので、業務の文脈次第では「これは軽微であり渋滞要因ではない」とするときも正直ありますが、実際は軽微な要因の累積が渋滞となっていることはいうまでもありません。
ネクストブレイクは飯田市 ラウンドアバウトで決まり 交通工学的に・・・です。
最近、長野県飯田市に関する仕事をしたので、飯田市の関する話題を。
交差点渋滞の切り札-ラウンドアバウト-
道路交通を勉強している人はご存知かと思いますが、ここ最近ラウンドアバウトの取り組みが始まっています。
ラウンドアバウトとは信号のない環状型交差点です。
信号がないので、余計な停止がない分効率的な交通が処理できます。反面、整備面積が大きかったり、優先、非優先があいまいだと事故になるのではという指摘もあります。
欧米では一般的で、日本ではイギリス本で有名なリンボウ先生こと林望氏が最小に紹介したような記憶が。
飯田市ではラウンドアバウトが2つある
さて、飯田市ですが、ラウンドアバウトが2箇所整備されていて、下記のサミットなるものの開催されています。
「ラウンドアバウトサミットin飯田」を開催しました - 飯田市ホームページ
社会実験の現場となって「吾妻町交差点」その後整備「東和町交差点」2箇所があるということでグーグルマップでみると
結構市街地に作ってます。飯田駅前です。
えー二つありますね。右側が「吾妻町交差点」左側が新規整備の「東和町交差点」のようです。隣接しているのですね。
実際に走行している映像がありました。
ラウンドアバウトをハシゴ【長野県飯田市東和町交差点-吾妻町交差点】 - YouTube
最初の「東和交差点」はあまり交通量は多くないですね。続いて「吾妻町」はローターリーを走っている車両もあったり、歩行者も渡っています。
確かに、信号待ちのストレスは無いですね。
・・・とついでにこんな映像をみつけたのて゛
【車】世界一複雑な環状交差点 マジック ラウンド アバウト Roundabout Traffic - YouTube
・・・・これを整備した勇気に敬服します。
そんなわけで飯田市ですが・・・
ラウンドアバウトのほか、飯田市はリニア駅も整備される予定。また中央自動車道の飯田インター~松川インターにはスマートインターができるというニュースも。
「ラウンドアバウト」「リニア駅」「スマートインターチェンジ」と交通技術者的には垂涎の的、聖地といえます・・・・ってか。
その道路、24時間のうち12時間は車両通行止めです。
その道路は24時間のうち12時間は車両通行止め・・・って、ほとんどの道路は信号機があるので、24時間中12時間ぐらいは赤信号で通行できないということです。
信号機は大体は90秒~180秒で一回転します。これをサイクル長といいます。
次に信号灯による通行パターンを「現示」といいます。もっとも単純な信号ですと、主道路が青のときと従道路が青の2パターンですので「2現示」となります。この基本から途中で矢印信号で右折車両をさせると、主道路青」→「右折矢印」→「従道路青」→「右折矢印」であれば「4現示」となります。
冒頭の「24時間中12時間は通行止め」というのは、通行可能として割り当てられている青時間はサイクル長の50%程度なので、実質半分は通行止めということです。
感応式信号機って、けっこう罪つくり
ほとんどの信号は、あらかじめ設定されたプログラムや管制制御で、ドライバーの意思に関係なく勝手に動いてるのだけれだも、交通量の少ない流入路では「感応式信号機」が設置されている。
普段は赤だけど、車両がきたときだけ青になるアレです。交通量は少ないが、かといって信号が無しでは危ない流入部に設置されていています。ほとんどの場合停止線の上にセンサーがあり停止線に車両が止まると感応する仕組みです。横断歩道がある場合は歩行者用の押しボタンが併設されています。
近所にも一機設置されていて、コレが当家と直近駅の経路にある。私はあまり経験が無いのですが、うちの奥さんは時々「また、信号思いっきり待たされた。」と憤慨して帰ってきます。
もちろん信号機には「感応式」と表示されています。また感応すると「感応中」のランプが点滅して、ドライバーに教えてくれるようにはなっています。
まれに(奥さんに言わせるとしょっちゅう)、知らない、あるいは気がつかないドライバーがいるようです。
感応式は感応しない限りは永久に赤です。奥さんとしてはクラクション鳴らすのも抵抗があるし、かといってわざわざ降りて注意するのも怖い。歩行者用のボタンを押しに行こうとも思うのですが、途中で気づく可能性もあるし、また当のドライバーがそれと気づかずに青で発進されると「その青は、私がわざわざクルマから降りてボタンを押した青だぞー!!」という気分になるのでしないそうです。
ご高齢のおばあちゃんやおじいちゃんならまだしも、おっさんだと殺意すら覚えるそうです。
いやー、感応式信号機って怖いですね。私も気をつけようっと。
渋滞発生メカニズムと車間時間2秒
渋滞発生のメカニズム
かなり有名になっているかもしれないけど、NEXCO東日本のサイトでは、渋滞発生のメカニズムを分かりやすく動画で解説してます。
サグ部などで起きる「渋滞」の原因とその対策について | 道路交通情報 | ドラぷら
渋滞発生のメカニズム(NEXCO東日本)
渋滞の原因は事故とか工事などによる車線減少などによる容量低下、また一般道では信号交差点での容量不足などがありますが、ここで説明されているのはいわゆる「自然渋滞」の説明です。
ドライバーの方ならよく経験していると思いますが、普通に走っていたら急にノロノロ運転になって、工事でもしてるのかと思ったら特になにもないという現象です。「先頭のクルマにやってんだ(怒)」・・・というアレです。
で、NEXCOの解説にもありますが、まさしく「先頭のクルマ」に原因があることが分かります。
たとえば、一定数の車両が時速80km/hで走行しているとします。すべての車両が時速80km/hをキープしてれば、当然渋滞は発生しません。しかし先頭の車両が何らかの原因で速度が低下。すると後続車は当然車間距離が縮まるので「やばっ」と思って速度を落とします。
このとき後続車両は車間距離をキープしたいので、前方車両より速度を落とす必要があります。つまりは前方の車両が75km/hになったら、後続車両はより 遅い、たとえば65km/hに速度を落とします。するとその次の車両は65km/hより遅く、でまたその次の車両はもっと遅く・・・となって、速度は 0km/hに近づき渋滞が発生します。
NEXCOのホームページでは、速度低下しやすい区間としてサグ(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)での事例を紹介していますが、他にトンネルの明暗によるの、看板なども。
よく「美人渋滞」なんてことを言いますが、思わぬものが渋滞のきっかけとなっています。ただし、渋滞に遭遇した後続車が渋滞を通過するころには「美人」は立ち去ったあとです。
車間時間を2秒
このような、自然渋滞の発生を防ぐには、当然サグ部等での無意識の減速や不用のブレーキを なるべくしないことが肝心ですが、「渋滞学」で有名な、東京大学の西成 活裕教授は渋滞を減らす運転方法として「混んでも詰めない。車間時間2秒。」を提唱しています。
マナーを学ぼう MUJICOLOGY!研究所 | 生態にみる渋滞
2秒の論拠としては、いろいろと理論的背景はあろうかと思います。詳しくは西成教授の著作なりを読んでいただくとして、われわれ交通工学をかじった者にとっては確かに2秒という時間は「ああ2秒。やっぱしそこらへんですか。」と結構腑に落ちる時間です。
以前、当ブログでも書いたように、
「道路の交通容量」によれば、基本交通容量が定義されており、まず単路部の2方向2車線道路で2500pcu/時/2車線、次に 多車線道路及び1方向道路の基本交通容量で2200pcu/時/車線となっている。
道路の交通容量とは当該道路で処理することができる台数ですが、ここで2200pcuとは乗用車(小型車)換算台数です。実際の交通では大型車が10パーセント程度はあるので、実際には2000台/時間/車線ぐらいが交通容量となります。
1時間に2000台ということは、3600秒÷2000台=1.8秒。つまり概ね2秒に1台、交通を処理できるということです。
逆に考えれば2秒に1台通過している状態が、その道路の最大パフォーマンスを実現している環境であると言うことができます。
渋滞と経済
さてさて、渋滞という概念はいろいろな社会現象にもロジックとしてあてはめられそうで、id:prof_nemuroさんのブログでは、渋滞を日本経済にあてはめて下記ようにコメントされています。
このロジックを経済全体に適用してみましょう。1998年から企業部門は資金余剰を続けていますが、その裏返しが家計所得の伸び悩みと財政赤字です。企業 部門がマネーを貯めこんでいる、すなわちマネーを渋滞させていることが、経済全体の成長率低下を引き起こしていると言えます。ならば、日本経済全体の利益の名のもとに、政府が企業部門に賃上げを働きかけることや、再分配を強化してマネーの偏在を解消することも正当化されるはずです。
渋滞学と日本の最適化 - Think outside the box
お金に関しては、人間のエゴが最大限に発揮されそうで、ワザと渋滞を発生させて、自分だけはスタコラ逃げてしまう人も多そうです。
渋滞学検定
上記のマナーを学ぼう「 MUJICOLOGY!研究所サイト」では「渋滞学検定」なるものも用意されています(10問)。私は9問正解でした。一番肝心な第4問を間違えました(^┰^)ゞ テヘヘ))
福岡市では深夜にゴミ収集してるって知ってました?
ゴミは全国どこでも、朝収集しているものだと思っていたら、福岡市では深夜に収集していることを今日知った。
渋滞要因分析&対策検討の仕事をしているとき、話のネタとして「やたら水曜日の朝に渋滞するなと思ったら、ゴミ収集の日だったりするんですよ。」なんてことをさもありなんと語っていたのだが、福岡でしゃべらなくて良かった。
福岡市も問い合わせが多いのか、わざわざ市ホームページに「夜間収集の歴史」という記事を掲載している。歴史的経緯を経て本格的に始まったのは昭和32年とのことだから、かなり昔から実施しているようだ。
文脈としては、朝の渋滞を避けて効率的にゴミ収集ということだが、実はゴミ収集車自体が渋滞発生原因あるいは渋滞を助長していることもある。
ゴミ収集を朝ピーク時から深夜にシフトすることで、交通ピーク時の交通量分散、また大型車(ゴミ収集車)の影響緩和にもなり、渋滞対策として有効だと思う。
メリット、デメリットはいろいろある思うが、交通渋滞緩和の観点からは良い施策だ。