渋滞発生メカニズムと車間時間2秒
渋滞発生のメカニズム
かなり有名になっているかもしれないけど、NEXCO東日本のサイトでは、渋滞発生のメカニズムを分かりやすく動画で解説してます。
サグ部などで起きる「渋滞」の原因とその対策について | 道路交通情報 | ドラぷら
渋滞発生のメカニズム(NEXCO東日本)
渋滞の原因は事故とか工事などによる車線減少などによる容量低下、また一般道では信号交差点での容量不足などがありますが、ここで説明されているのはいわゆる「自然渋滞」の説明です。
ドライバーの方ならよく経験していると思いますが、普通に走っていたら急にノロノロ運転になって、工事でもしてるのかと思ったら特になにもないという現象です。「先頭のクルマにやってんだ(怒)」・・・というアレです。
で、NEXCOの解説にもありますが、まさしく「先頭のクルマ」に原因があることが分かります。
たとえば、一定数の車両が時速80km/hで走行しているとします。すべての車両が時速80km/hをキープしてれば、当然渋滞は発生しません。しかし先頭の車両が何らかの原因で速度が低下。すると後続車は当然車間距離が縮まるので「やばっ」と思って速度を落とします。
このとき後続車両は車間距離をキープしたいので、前方車両より速度を落とす必要があります。つまりは前方の車両が75km/hになったら、後続車両はより 遅い、たとえば65km/hに速度を落とします。するとその次の車両は65km/hより遅く、でまたその次の車両はもっと遅く・・・となって、速度は 0km/hに近づき渋滞が発生します。
NEXCOのホームページでは、速度低下しやすい区間としてサグ(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)での事例を紹介していますが、他にトンネルの明暗によるの、看板なども。
よく「美人渋滞」なんてことを言いますが、思わぬものが渋滞のきっかけとなっています。ただし、渋滞に遭遇した後続車が渋滞を通過するころには「美人」は立ち去ったあとです。
車間時間を2秒
このような、自然渋滞の発生を防ぐには、当然サグ部等での無意識の減速や不用のブレーキを なるべくしないことが肝心ですが、「渋滞学」で有名な、東京大学の西成 活裕教授は渋滞を減らす運転方法として「混んでも詰めない。車間時間2秒。」を提唱しています。
マナーを学ぼう MUJICOLOGY!研究所 | 生態にみる渋滞
2秒の論拠としては、いろいろと理論的背景はあろうかと思います。詳しくは西成教授の著作なりを読んでいただくとして、われわれ交通工学をかじった者にとっては確かに2秒という時間は「ああ2秒。やっぱしそこらへんですか。」と結構腑に落ちる時間です。
以前、当ブログでも書いたように、
「道路の交通容量」によれば、基本交通容量が定義されており、まず単路部の2方向2車線道路で2500pcu/時/2車線、次に 多車線道路及び1方向道路の基本交通容量で2200pcu/時/車線となっている。
道路の交通容量とは当該道路で処理することができる台数ですが、ここで2200pcuとは乗用車(小型車)換算台数です。実際の交通では大型車が10パーセント程度はあるので、実際には2000台/時間/車線ぐらいが交通容量となります。
1時間に2000台ということは、3600秒÷2000台=1.8秒。つまり概ね2秒に1台、交通を処理できるということです。
逆に考えれば2秒に1台通過している状態が、その道路の最大パフォーマンスを実現している環境であると言うことができます。
渋滞と経済
さてさて、渋滞という概念はいろいろな社会現象にもロジックとしてあてはめられそうで、id:prof_nemuroさんのブログでは、渋滞を日本経済にあてはめて下記ようにコメントされています。
このロジックを経済全体に適用してみましょう。1998年から企業部門は資金余剰を続けていますが、その裏返しが家計所得の伸び悩みと財政赤字です。企業 部門がマネーを貯めこんでいる、すなわちマネーを渋滞させていることが、経済全体の成長率低下を引き起こしていると言えます。ならば、日本経済全体の利益の名のもとに、政府が企業部門に賃上げを働きかけることや、再分配を強化してマネーの偏在を解消することも正当化されるはずです。
渋滞学と日本の最適化 - Think outside the box
お金に関しては、人間のエゴが最大限に発揮されそうで、ワザと渋滞を発生させて、自分だけはスタコラ逃げてしまう人も多そうです。
渋滞学検定
上記のマナーを学ぼう「 MUJICOLOGY!研究所サイト」では「渋滞学検定」なるものも用意されています(10問)。私は9問正解でした。一番肝心な第4問を間違えました(^┰^)ゞ テヘヘ))